令和6年度税制改正提言の主な実現事項
- 2024年05月22日
- カテゴリー:お知らせ
税制委員会
法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項
令和6年度税制改正では、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を十分に超える持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から、所得税・個人住民税の定額減税の実施や、賃上げ促進税制の強化等が行われました。また、資本蓄積の推進や生産性の向上により、供給力を強化するため、戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制が創設され、スタートアップ・エコシステムの抜本的強化のための措置が講じられました。加えて、グローバル化を踏まえてプラットフォーム課税の導入等が行われるとともに、地域経済や中堅・中小企業の活性化等の観点から、事業承継税制の特例措置に係る計画提出期限の延長や外形標準課税の適用対象法人の見直し等が行われました(令和6年度税制改正大綱より)。
法人会では、昨年9月に「令和6年度税制改正に関する提言」を取りまとめ、その後、政府・政党・地方自治体等に提言活動を積極的に行ってまいりました。今回の改正では、中小企業向け税制措置の適用期限延長、事業承継税制の特例承継計画提出期限延長等、法人会の提言事項の一部が盛り込まれ、以下のとおり実現する運びとなりました。
[法人課税]
1.中小企業向け賃上げ促進税制
法人会提言 |
改正の概要 |
・中小企業向け賃上げ促進税制については、適用期限が令和6年3月末日 までとなっていることから、その延長を求める。 |
・中小企業向けの措置について、教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置は教育訓練費の増加割合が5%以上等である場合に適用できることとし、くるみんやえるぼし(2段階目)以上の認定を受けた場合に税額控除率5%を加算する措置を加え、5年間の繰越控除制度が設けられた上で、適用期限が3年延長されました。 |
2.交際費課税
法人会提言 |
改正の概要 |
・交際費課税の特例措置については、適用期限が令和6年3月末日までと なっていることから、その延長を求める。 |
・交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準が1人当たり5,000円以下から1万円以下に引き上げられました。また、中小法人の特例措置に係る適用期限が3年間延長されました。 |
3.中小企業の技術革新など経済活性化に資する措置
法人会提言 |
改正の概要 |
・少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置については、損金算 入額の上限(合計300万円)を撤廃し全額を損金算入とする。なお、 それが直ちに困難な場合は、令和6年3月末日となっている適用期限を 延長する。 |
・中小企業の少額減価償却資産の特例について適用期限が2年間延長されました。 |
4.中小企業等の設備投資支援措置
法人会提言 |
改正の概要 |
・「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」は、令和6年3月末日が適用期限となっていることから、適用期限を延長する。 |
・カーボンニュートラルに向けた投資促進税制について、中小企業者が適用を受けた場合の 税額控除率が見直された上で、適用期限が2年間延長されました。 |
[事業承継税制]
1.相続税、贈与税の納税猶予制度
法人会提言 |
改正の概要 |
・特例承継計画の提出期限は1年間延長され、令和6年3月末日までとなっているが、コロナ禍からの完全回復には時間がかかるうえ、エネルギー価格が高止まりしているなど、中小企業を取り巻く環境は依然厳しい状況にある。特例承継計画の提出期限等の延長を求める。 |
・法人版事業承継税制の特例措置について、特例承継計画の提出期限が2年間延長されました。 |
[その他]
1.森林環境税
法人会提言 |
改正の概要 |
・令和6年度から施行される森林環境税について、現在、先行して別の財 源を使って地方自治体に配分(令和5年度は500億円)されているが、 その半分が使い残され基金として積み立てられているとの指摘がある。これでは税が有効に活用されているとは言い難く、配分方法のあり方など、制度自体を抜本的に見直すべきである。 |
・森林環境譲与税に係る譲与基準について、「私有林人工林面積」の譲与割合を5.5割(改正前:5割)、「人口」の譲与割合を2.5割(改正前:3割)とする見直しが行われました。 |